2011年8月13日土曜日

「肥大化した機能別組織」

TANAKA Kohji です。
「肥大化した機能別組織」というフレーズがあります。
組織は、放っておくと、メンバーの役割を分割していき、「部分」を任されるメンバーだけが増えていくものです。
「効率」を求めると、各々の作業は、境界線を引き、責任の所在を明確にすることが必要と思われているからです。

しかし。
それが行き過ぎ、「部分最適」が進行し、全体最適が崩れるというのが、組織が組織として機能しなくなる、一般的な症状なのです。

たとえば、「ダイニングテーブルと椅子」のセットを作ることを考えます。
まず、組織内をふたつに分割しました。
ダイニングテーブルを作るグループと、椅子を作るグループです。
両者はその製造方法が違うため、得意分野に応じて、グループ分けがなされることでしょう。

ただし、デザインのように、両者を横断する業務もあり、そのようなメンバーも存在します。

次に、ダイニングテーブルを作るグループにフォーカスします。
時が過ぎていくにつれ、天板を作るグループと脚を作るグループで分割をしようという意見が出てきました。
天板と脚ではそれぞれ製造方法の詳細が異なるため、得意分野に応じて、グループ分けをしたのです。

椅子のグループも分かれて、背もたれ、座面、脚と、それぞれグループが細分化されていきました。

それぞれのグループは、それぞれを作ることに優秀な技能を発揮しました。

では、全体として、「ダイニングテーブルと椅子のセット」は良いものとなったでしょうか?

結果は逆でした。
それぞれ、部品ごと(グループごと)には、一級品であったにもかかわらず、全体では「バランスのとれていない」ものができあがったり、「顧客の声が製品の改良に反映されなかったり」したのです。

何故か。
部分最適の総和が全体最適とはならないから」です。

組織のひずみは、いつも、組織と組織の間で起こるのです。
組織を分割すればするほど、その問題が起こる可能性は高まります。

その組織が「ダイニングテーブルと椅子のセット」しか販売していなければ、なかなかそうはなりません。

しかし実際には「高級ダイニングテーブル」や「業務用の机」や「家庭用の椅子」等、ラインナップは多様にあります。
そんなとき、組織を機能で分割すればするほど、部分最適化が過剰に進んでしまい、却って全体最適とはならないのです。

机の脚だけにフォーカスしている組織が、「机のクレーム」を受けた場合はどうなるでしょうか。
おそらく、仕事のできるメンバーほど、「原因を他の場所(天板等)にもとめ」自らの責任の所在を回避する行動に出るでしょう。

組織を分割すると、責任の所在が明確になるかと錯覚します。
しかし、実際はその逆のことが多いのです。

問題は、いつも組織と組織の間で起こるのです。
あなたの携わっているプロジェクトでは、組織を過剰に分割していませんか?
その場合、その間で起こった問題を解決するべきは誰でしょう。
自社や自社製品に対するクレームが多いと感じたら、機能別組織が肥大化している可能性があります。

ではどのように組織を見直すべきなのか。
その話は、また次の機会で。


このエントリーをはてなブックマークに追加

Facebookへの「いいね!」ありがとうございます