日本には古き良き伝統的な行事や行いが多くあります。
先人の築いた礎の上に私たちは生きていて、その受けている恩恵に感謝の念を忘れてはなりません。
「礼儀」もそのひとつかもしれません。
生活に限らず、ビジネスをする上でも、多くの礼儀やマナーが存在します。
私は運良く新人教育をしっかりと行う会社で社会人一年目を過ごせましたので、恵まれているとは思います。それでもまだまだ学ぶべきことは多いのですが。
一方で。
伝統は、変わっていく必要もあります。
そのひとつが「効率化」というもの。
たとえば人が亡くなると、さまざまな行事が行われます。
お通夜、告別式、初七日、四十九日の法要、等々。
その後、一周忌、三回忌、七回忌と、間隔は広がっていくのですが、亡くなった直後には集中するのがわかります。
なくなった直後に行事が集中するのは、一節には、故人を亡くし残された親族が、精神的に立ち直るために、様々なことを行い「気を紛らわす」という意味もあると聞きました。
深い悲しみに陥り、親族が精神的に参ってしまわないようにする、先人の知恵でしょう。
しかし最近は、初七日を行わないというケースが増えてきました。
告別式と「一緒に」行うことで、初七日で別途行うことは少ないそうです。
これは、長い休みが、仕事に支障をきたす方が増え、それに対応し、現実的な落とし所として、伝統を守らないという選択をしたという結果だと思います。
このように伝統や礼儀とは、常に効率化との狭間で、せめぎあいを続けています。
伝統や礼儀は「手順を増やしていくことで」形式化されていくものですので、根源的に効率化とは真逆なわけです。
しかし、高度資本主義社会である今日、ビジネスは常に効率化が求められます。
私も、日々、より効率的に作業をすることで、競合他社よりもビジネスを優位に進めていくための努力を惜しみません。
当ブログでも「遠隔地と円滑にビジネスを」「第5回ビジネス勉強会@新橋を終えて」等でお話ししたツール類を始め、モバイルというテーマでも何度もお伝えしてきました。
これらはすべて効率という果実を生み出しますが、一方で、古くからの礼儀を尊重するばかりに、新しいツールにもそれを適用し、却って効率化を妨げるケースも散見されます。
たとえば、最近は減ってきましたが、メールにおける以下のルール。
- メールアドレスに付随する相手方の名前は、メールソフトで見えてしまうので「様」をつける
- 返信時の件名は「Re: 」をつけたものではなく、書きなおす
等々。枚挙に暇がありません。
それらが「守るべき礼儀」であると信じ、行動することを止めるつもりはありませんが。
少なくとも、私や、私と同じ職種の人で、上記を行ったことがある人は、ごくごく少数派でしょう。
理由は割愛しますが、それらが、不要なルールであるからです。
しかし、卑下しているわけでもなく「古い人間」と自称する方々を中心に、頑なに守ろうという方々も多いのです。
伝統と効率化は、ときに相反します。
そして、場合によっては、伝統も効率化の波にのまれ、変えなくてはならないことも多いのです。
頭を固くしてはなりません。
柔軟に。
そして、貪欲に。
この時代にビジネスで勝つためには、フットワークの軽さが必要です。
自らを殻に閉じ込めることなく。