2011年6月5日日曜日

なぜ教えることが難しいのか

TANAKA Kohji です。
人に物を教えるということについては、学生時代にさんざん考えてきました。
どうやって教えるべきかを。

その経験があって、社会人となっても、しばらくは人に物を教えることに戸惑うことはなかったのですが。

最近、パソコンのことやインターネット上のさまざまなサービスについてなど、人に何かを教えることが増えてきました。
もちろん仕事ではなく

最近、これらのことを教えることの難しさは何故なのかを考えるのですが。

ちょっと脱線して昔話を。

社会に出て数年後、まだインターネット等が活用し尽くされてなかったころ。
私はエクセルVBAというプログラミング言語を独学で勉強しました。

プログラミングをするのは小学生の頃BASICというのをちょっとやった程度でそれ以来。

今考えても良くやったなと思うくらい、短期間で多くのことを勉強しました。
分厚い本も何冊か読み込みました。(覚えてからを入れると両手で足りませんが)

そのときの業務には余すところなく発揮し、頼まれてもいないツールをいくつも作ったものです。
当時提供していたサービスにも使われるようなものも作りだし、今でもその10年ちかく前に作ったプログラムが使われていると知りのけぞりましたが。

そんな当時。
エクセルのあるシートに「便利な印刷ボタンを付けたいからやり方を教えてくれ」といわれました。
機能自体はさほど難しくはなかったのですが、便利なというのがくせもので、教えれば1時間はかかる内容で、さすがに業務の合間に教えられるものではありません。
仕方がないのでいつも席に置いていた書籍を渡し、その機能に近いサンプルが載っている箇所を教えてあげました。
すると彼は、ケチとでも言わんばかりに、去っていったのです。
どうやら、丁寧に手取り足取り教えてもらえるとおもっていたようです。


話を戻して。

さて、プログラムに限らず、パソコン操作等々を教える機会がありますが。
「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」と言われますが、何かを教えるときも似ていると思います。

  1. その人の今の習得状況を確認し、何を教えるべきか決める
  2. やってみせる
  3. させてみる
  4. 褒めてあげて、これから何をするべきかを伝える
という4つのステップがあったとして。

まず、1がすこぶる難しい。
「○○について知ってますか?」と言っても的確な答えが返ってこないのです。
すなわち、知っていても「知らない」と言い、知らなくても「知ってます」と言ったりする。

前者は「自分の知らないことがたくさんあるかも知れないから、知らないと言っておこう」という心理が働き、後者は「知らないと思われると恥ずかしいから、知ってると言っておこう」という心理が働いていたりします。他の理由もありますが。

その方の普段の使い方を見ていれば、何を教えるべきか、どう伝えるべきかは、迷うことはありません。
しかし、それができない状況で、聞いても的確な回答が得られなければ、どうしても手探りとなります。

そして、2も難しい。
その方のパソコンを使って作業ができるのであればまだ良い方で、口だけで伝えるケースも良くあります。
運良くやってみせられたとしても、基本操作をしているだけでも、その方にとっては「速すぎてよく分からなかった」となったりするのです。

3については。
得てして「教えてほしいこと」は、その人のレベルにあっていないことが多く、もっと利用時間を増やして、基本的なことに慣れる時間が必要だったりします。
そして、それらがままならない人の操作を見ているだけでもどかしいのです。
自分なら3秒で終わることが3分かかってたりするのですから。

最後に、以上の状況から、4が難しくなります。
「褒めるところが分からない」のです。はい、トレーナー失格の発言ですが(笑)

まあ冗談はさておき。
インターネット上で何かを質問すると、人によっては「冷たい教えられ方」に落ち込むようです。
その人にとっては「教えてもらって当然」であり「どうせなら優しく教えてほしい」と思っていることでしょう。
しかし違うのです。
しかし違うのです。

重要なことなので2度言いました。(笑)

その人の現状が伝わらない以上、的確な答えはもらえないのです。
そして、回答している側も、回答が的確かどうかが分からないのです。

さらに上述の昔話のような誤解もあります。
その人が思っているほど簡単なことではないかもしれません。

最終的に「自分で調べないと、自分にあった回答は見つからない」のです。
その調べるためのヒントが得られれば、大抵の場合は充分です。
なぜならそのヒントを見つけるまでが、一番時間を要するのですから。

教えてもらって「教え方が悪いなあ」と思ったら、まず自身のレベル不足の可能性が高いです。
謙虚に自身のレベルアップに努めましょう。

教えてる人も、そうしてきたのですから。
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