昨日の Getting Real の話と関連して。
とかく日本で何かサービスを開発しようとすると大人数となります。
大人数で何かを創作するということの困難さはいろいろあるのですが、その中のひとつに、多機能化するという現象があり、それが製品の品質を却って下げるということがあります。
「多機能なのは良いこと」と思っている方は多いですが、一方でドラゴンクエストシリーズで有名な堀井雄二氏のこの言葉。
吉田氏:ドラゴンクエストの関係で,堀井雄二氏と一緒に仕事をさせて頂いたときに,一番言われたのが,「面白さの前に,分かりやすさだよ」ということでした。要は,ルールが分からなければ,遊んでくれたお客様は,それが面白いのか,面白くないのか,判断すらできないということで,まずは分かりやすさを最優先するべきだと教えていただいたわけです。
http://www.4gamer.net/games/092/G009287/20101226004/この発言の趣旨とは異なりますが、多機能が分かりやすさを損なうという例は、枚挙にいとまがありません。
たとえば、分厚い操作説明書を読まない人は多いでしょう。
(一方、iPhone等には説明書すらつけていません)
ではなぜ大人数で製品/サービスを作ると多機能化するのか。
それは、責任が分散するからと、個人的には考えています。
官僚的な組織であればあるほど、その傾向は強いでしょう。
(スティーブジョブズ率いるAppleが新製品では多機能化しないことがその証左と言えます)
つまり、「○○はいらない。却って邪魔になる」と言えるだけの雰囲気を作れないのです。
仮にプロジェクトのメンバー間で共有できても、その承認を得るステップで承認者の理解が得られないというのもよくあること。
結果、ユーザーの2割しか使わない機能ばかりが大盛りで搭載されるのです。
しかし。
開発期間は一定です。
少ない機能について、極限までUser Experience (意訳するとユーザーへのおもてなし)を追求できるのと、サブの機能の開発に終われ、メインの機能がおろそかになるのと、どちらがユーザーの心をつかむでしょうか?
Appleの割り切り方は素晴らしいと思います。
例えば。
今年の新ヒット商品と言えばiPadでしょう。
しかし、使われてるCPUのスペックは決して高いと言えません。
OS(基本ソフト)も、iPhoneが6月にiOS4にアップデートしたのに対し、同じiOSを使っているはずのiPadは、結局11月まで対応しませんでした。
逆に次期モデルは、カメラ搭載/性能向上等が噂されています。(ひとまわり小さいサイズを出すという噂もあります)
他の企業で機能を割り切って出せるでしょうか?
(Sony Reader の例は、割り切った例ではありません。単なる調整不足か納期優先の発表です)
Webアプリケーション(Web上のサービス)を作っていて、関わる人数が増えると、すぐに多機能化に針が振れます。
しかし、その前に、コアなユーザーを獲得しないといけないのです。
裾野を広げるのはその後で良い。
ということに共感できる方は、2011年は一緒に仕事しましょう(笑)
というわけで今年も1年お世話になりました。
(もう1日あるけどね)