2010年8月2日月曜日

ペーパーレスという幻想が崩れるのは

TANAKA Kohji です。

iPadの登場で、にわかにペーパーレスな考え方が盛り返してきました。
本を裁断し、スキャナで読み込んでデジタルデータ化することを『自炊』と呼んだりしますが、そこで使われるスキャナとして有名なのがScanSnapという製品。

スキャナで読み込むだけで自動的にPDFファイルを作成するという優れものなのですが、実はこの製品、かなり以前に当時勤めていた会社で企画担当をしていたときに、富士通(の子会社)の開発している担当者の方からモニター機をお借りしたことがあります。

当時はまだPDF化するソフトはAcrobatくらいで、その高価なソフト付きで4万円程度だった記憶があります。
Acrobat目当てでも売れてしまうほどコストパフォーマンスに優れた製品でした。

当時の話(5年以上前です)として語りますが。
スキャンするだけでPDF化され、場合によってはOCR機能を使ってテキスト化もされます。
非常に使い勝手の良い製品で、わたしのデスクのそばに置いて重宝したものです。

そして、その後ScanSnapは、iPadの登場で(世間的に)日の目を見ることになりました。
製品としての良さはすでにユーザーの折り紙付きということで、今や自炊を考える人であれば誰しも知っている製品でしょう。

さて本題です。
ペーパーレスとは何なのか、ということ。

たとえば上述のような、本のような紙媒体がデジタルデータになることをペーパーレスというのであれば、それが、100%達成される日というのはこないでしょう。

紙でしかできないことが、厳然と存在する限り、完全なるリプレイスが起こることは考えがたい。

では弊社の例でペーパーレス化したものは何かというと、たとえばFAXの送受信があります。
今日でもFAXはビジネスシーンでよく利用されるものですが、紙を介さないといけないかというとその限りではありません。
もともと 紙(送信者)→デジタルデータ(通信回線)→紙(受信者) という流れですから、すべてデジタルデータにするのは不思議ではありません。
送信側であれば、送信文書をWordやPDFで作成しFAXに付属のPC用送信ソフトを利用すれば、印字という無駄がなくなります。実際弊社では紙そのものをFAXしたことは片手で数えられるくらいしかありません。
受信側であれば、今やFAXに搭載されたディスプレイで視認することができます。
必要に応じて印字するか、もしくはデジタルデータのままPDFファイル等に変換可能です。

これをペーパーレスと言うのだと思います。

日本では役所がまだまだ紙信仰があるため、電子文書化が進んでいません。
電子定款で登記し、電子申告で確定申告をしている弊社ですら、社会保険関係の文書は郵送しています。

ペーパーレスはまだまだ幻想でしょう。
少なくとも公式な文書が電子化されるまでは。

しかし、e-taxのようなその萌芽はありますし、また、ユーザーの意識も変わってきました。
電子手帳やPDAで玉砕した「手帳」も、スマートフォンがブレイクスルーしました。
上述のように、読書すらiPadが変えようとしています。(技術書の多くは電子化が進行しています)

自炊という言葉が無くなるまで、ペーパーレスは幻想だと思っているのですが、この話の続きはまたの機会で。
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